SCENERY

その壁がなくなれば、世界がもっと広がります 

2013.04.03[水] 

夜桜


我が家からほど近いところに、小学校の集団登校(うちの地域では分団と言います)
の集合場所となっている小さな公園がある。ここには数本の桜の木があるのだが、
植えてある場所が良いのか1本だけ他の木よりも少しだけ早く満開になる、少し
小ぶりの木がある。

この木が、ある人が自分の娘の誕生を記念して、その年、管理事務所にお願いして
公園に植えさせてもらったものだということを最近知った。
母親の愛と比べ父親のそれは、なかなか真っ直ぐ子どもには届かないことの方が
多いように思う。父と娘はこの桜の木のように、すくすくと成長したのだろうか。

それから数十年。

月日は流れ、彼女が今もこの町にいるのか、それともどこか別の町へと巣立って
いったのか、私には知る由もないけれど、春になれば律儀にも、毎年忘れずに
桜は花を咲かせてくれる。

夜風に震えながら白く浮かぶ花の姿は「まだ離れたくないの」とでも言っている
かのように枝に寄り添ったまま。花が散り、季節が巡り、葉の色が染まって
その姿を変えたとしても、親が子を思う気持ちが変わらぬのと同じ様に、桜は桜。

「青葉さへ見れば心のとまるかな 散りにし花の名残と思へば」
これは父から娘への言葉だったか。

蕊降る季節を間近にひかえながら、今日もまた、桜は子ども達の行く道を
優しく見守っていてくれる。
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Comment
2013.04.03 Wed 08:09  AzTak #xZCYq0Xc
その桜の木はソメイヨシノではないのかもしれませんね。
少し早く、少し小ぶり。もしかしたら、色も少し違うのかも。親の願いがこもっている樹なのでしょう。
『青葉さへ見れば心のとまるかな 散りにし花の名残と思へば』…西行の失恋の歌は当てはまるものなんでしょうか。
この歌が親の気持だったとすれば、幼くして死病にとりつかれた娘の記憶を止めたくて桜に託した、というようなシチュエーションが想像されちゃいます。
そうだとすると、ちょっとやりきれないような思いが。
もう少し明るい親の思いを来年まで考えて見ませんか。
  [URL] [Edit]
2013.04.03 Wed 19:50  サンタ #54eKsoAw
>AzTakさん
これは、まごうことなくソメイヨシノなのです。
1本だけ他の樹と離れて植えられているのです。この1本だけが
南東の角地にあって、ご近所の方ともお話したのですが、多分陽の光を
一番早く、そしてたくさん受けているだろうね、と。
植えられてすでに40年くらい経っているのですが、そのエピソードを
知らなかったんです。
後から植えられたので、他の桜と離れた所にあって少し小さめなのだと
思います。

この歌については、AzTakさんの解釈と私の考えが少し違っていて
説明するととても長くなってしまうのですが…。

私の周りの人たちだけかもしれませんが、という注釈つきです。
私が会社員時代の同僚や上司あるいは現在のお客様の中で
娘を持っている人たちが何人かいます。

昔話ですが、会社の運動会で娘(1歳や2歳くらい)を連れてきて
ある人は「うちの○○(娘の名前)は絶対に誰にも嫁にやらん!」と言い
また別の人は「こんなに好きなのに、抱っこしようとすると嫌がられる…」
と言って泣き。(これはみんなで「酒と煙草臭いからじゃない?」と
慰めておきました:笑)
「娘は本当に可愛いぞー。洋服1枚買うのだって、リボンやレースがついて
いて、ピンクや赤や黄色で選んでいても嬉しくなってくる。息子のは味も
そっけもないからつまらん」とか、そんな話をたくさん聞かされました。

「娘に車を買ってやったら、どこの馬の骨ともわからん男を車で送って
やっているみたいだ。そんなやつのために買ったんじゃないのに。
絶対にオレは許さんぞ!」とか
「娘が留学したいと言い出してどうしようかさんざん悩んだけど、サンタ
(私のことです)さんを見ていて、自由にやりたいことをやらせてあげても
良いのかなという気持ちになった」という話も聞きました。
私って相当な放蕩娘だとでも思われていたのでしょうかね。(笑)

まだまだ引き出しをあければ、たくさんの娘話が出てくるのですがキリが
ないので。

私の知っている彼らは、娘が生まれた時から彼女たちに恋をしているかの
如くとても大切に思っているのですが、当の娘達からは「お父さんは、
あっち行って!」という冷たい仕打ちにあうのです。

父親の嘆きを聞くたびに「まあまあ、自分も馬の骨だった頃があって、奥様の
父親から奪い取ってきたんだから」と言うのですが「オレは違う!」と。(笑

今回、父親の思いと桜、というのを見て、桜と西行、そして失恋という
よりも報われなかった「片想い」の切なさを感じ取った次第です。

娘話をしてくれた彼らのうちの何人かは、すでにこの世にいません。
思い返すと、健在だった彼らとの最後の会話はやはり「娘」のことだった
ように思います。
もしかしたら、彼らの娘さんたちと歳が近かったせいかもしれません。
「サンタ君、どう思う?」とご飯をごちそうになりながらフンフンと聞いていた
頃が懐かしくさえ思い出されます。

この桜は小学生の登校の集合場所にあります。小さな娘が大きなランドセルを
背負って、小学校へと向かう姿をずっと見守っていた父親の深い愛情は、時が流れても
きっと変わることはないと思います。

「どこかの馬の骨(笑)」に取られてしまっても、もう本人がこの世界に存在
しなくても「思えば心のとまるかな」そんな父親たちの想いがこの桜にこめ
られているような、そんな気がしたのでした。

でも、もう少し明るい、報われる想いの歌を探してみますね。
その方がお父さんたちも幸せになれそうな気がします♪
Re: タイトルなし  [URL] [Edit]







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