SCENERY

その壁がなくなれば、世界がもっと広がります 

2011.09.29[木] 林間に紅葉を焚き‥

私の白洲次郎好きは、一部のお客様の中では結構有名な話なのだけど
ある時「白洲正子(の書いた物を)読んだことあります?結構良いですよ。
『西行』はきっと気に入ると思いますよ。」と教えて頂いた。

西行(という人物)を気に入るということなのか、それとも白洲正子
(の書いた物)を気に入ると思ったのか、それとも両方なのか、定かでは
なかったけど、私はそのどちらも気に入った。

『西行』に始まり、『明恵上人』、その他にも時々彼女の著書を読んで
いるのだけど、つい最近「彼女の書いた物」ではなく「彼女を書いた物」
を読んだ。

正子さんも次郎さんに負けず劣らず話題に事欠かない興味深い人なのだけど、
今回初めて知って、特に気に入ったものが、魯山人との某パーティーでの
エピソード。

パーティーの時、その場の流れで正子さんが着ていた紅葉柄の着物に
魯山人が字を書くことになった。
彼女は魯山人の字を気に入っていたので、さっさと着物を脱いで長襦袢
になり、魯山人に「林間に酒を温めて紅葉を焚く」と書いて欲しいと言う。
但し紅葉は文様にあるから『紅葉』は抜いて、との注文付き。

「よしよし」と軽く返事をしたものの、魯山人は「林間に酒を温めて」
まで書いてそこで筆を止めてしまった。衆人環視の中で長襦袢1枚で
震えていた彼女は、ついに癇癪を起こし「いつまであたしをこんな格好で
立たせておくの」と言うなり魯山人の横面に一発見舞った、というもの。

魯山人の焼き物や書は確かに素晴らしい物が多いと思うし、正子さんの
書く物も独特の審美眼が感じられて好きなのだけど「林間に酒を温め‥」
の作者、白居易も大好きなのですよ、私。

好きな人が好きな人や物と繋がっていると、何故かとても嬉しい。
同じ価値観を共有しているかもしれないという気持ちからなのなかな。


  送王十八帰山寄題仙遊寺
   (王十八の山に帰るを送り 仙遊寺に寄題す)

   曽於太白峰前住
   数到仙遊寺裏来
   黒水澄時潭底出
   白雲破処洞門開
   林間煖酒焼紅葉
   石上題詩掃緑苔
   惆悵旧遊無復到
   菊花時節羨君廻

          <白居易(白楽天)>


以前は太白峰の前に住み、しばしば仙遊寺を訪れたものだった。
傍らの黒水の流れは、澄めば淵の底まで見え、白雲の切れ目には
洞門が開いていた。
その林の中で紅葉を焚いて酒を燗にしたり、石の上に緑の苔を
はらって詩を書いたりしたものだ。
しかし悲しいことに、あの曾遊の地にもう二度とは行けぬだろう。
だが、菊の花の咲く時節に君はそこに帰っていくと言う、それが
羨ましい。
    <漢詩をよむ 白楽天100選 石川忠久著より一部引用>


このエピソードには、続きがあって

一連の出来事を知った青山二郎から「あんな奴を殴ると手が汚れるぞ」
と言われたそうな。

いなせだなぁ。
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