SCENERY

その壁がなくなれば、世界がもっと広がります 

2011.09.15[木] やめないで‥

「やめないで下さいね」。
先日、初めて来店されて『8年緑印小沱茶』を購入されたお客様が
おっしゃった言葉。
「このお茶扱うの、やめないで下さいね。絶対また買いに来ますから」。

一瞬ドキリとしたものの、ああ、お茶の事かと納得。

初めてお会いした方に「やめないで下さいね」と優しく言われたのは
これが2回目。
1回目は随分昔、私がまだ20代の頃、沖縄の那覇空港で名古屋に向かう
日本航空(JAL)の機内でのこと。


それはまだ世間は夏休みの頃で、私は沖縄2泊3日のツアーにアテンド
していました。
いろいろな方がいらしたのだけど、その中に一人、少し情緒不安定な
男性(多分当時で40歳くらいだったのでは)がいたのです。
普段は施設で生活していらっしゃるのだけど、夏休みやお正月休みの時は
家族の元に帰ることができるのでした。

「飛行機の席は必ず窓際で」「水遊びが大好きだから、プールか海で過ご
せる時間を確保すること」担当者からよろしく頼むと言われていました。

お客様達の協力もあり、ツアーは楽しく進み、いよいよ名古屋に帰るため
那覇の空港でチェックイン。皆さんに搭乗券を配り、後は名古屋空港到着
までのんびりと過ごすだけ…、のはずが大事件が起こってしまいました。

私のお渡しした例の彼の窓際の席が、少し窓よりも後にずれていたのです。
つまり、窓と窓の間の、ちょっと外が見にくい席。
純粋な彼は前の席の方の背もたれに、もたれかかるようにして外を眺めた
そうなのです。

当然、と言うか、不可抗力というか、前の座席の人からクレームを
つけられたそうで…。(その場に私がいなかったのは落ち度でした)

彼が私の席の方へズカズカとやって来て「サンタさん聞いてよ!」と
気持ちが収まらず、感情が抑えきれない様子。

話を聞いて、誰か席を変わってくれそうな人がいないか目で探しました。
この日はあいにく満席状態で、こんな時誰か知り合いでも乗り合わせて
いないかなぁ、と思っていたら‥‥、いました。(笑)

やはりツアーにアテンドしていた、同じ会社のネームプレートを付けて
いる営業マンらしき男性。
見つけたっ!とほっとしたのもつかの間、例の彼がいきなり走り出し
事もあろうことか通路を他の人と逆行し、飛行機から降りてしまいました。

一瞬、JALさんと目と目が合ったもののすぐに彼を追いかけ、走りながら
「大柄な彼にまともに突き飛ばされたら多分私は吹っ飛ぶな」などと
いろいろな考えが頭をよぎり…。

ブリッジを逆行し、搭乗ゲイトの所まで来ると、何と彼はそれをビヨ~ン
と飛び越しそのまま外へ。

続いて私も…、と思ったところで、JALの地上職員の方から「添乗員さんは
ここで待っていて下さい。私たちが行ってお連れして来ますから」と
言われ、ここで足止め。
多分、機内からすでに連絡が入っていたのだと思います。

暫く待っていると、空港スタッフの方に付き添われた彼が戻ってきました。
「みんなと一緒に名古屋に帰りましょ。お母さんも心配して待ってますよ」
と声を掛けたら「ごめんなさい。でもイジワルだったんだよ」そう言い
ながら、彼も冷静さを取り戻してきたようでした。

二人で機内に戻り(既に定刻を過ぎていたので)キャビンアテンダントに、
弊社の人間が乗っているはずなので、彼(窓際の席でした)にお願いして
席を変わって貰えるよう話がしたいと伝えると、先に立って、事情を
話してくれました。

信州の支店の人だったのだけど、快く席を交代してくれて一件落着。
ヤレヤレ支店にはどうやって報告するかなと思っていたら、チーフパーサーが
私の席の所でしゃがんで「大変でしたね」と声をかけてくれました。

そして「やめないで下さいね」と。

「この仕事、大変なことがたくさんあると思いますが、今回のことで
もうやめようなんて絶対に思わないで下さいね。我々も応援しています」。

皆さんにご迷惑をおかけしてしまったお詫びと、優しい言葉をかけて
いただいたお礼を伝え、仕事とはいえ初対面の人からこんな風に優しく
気遣って頂いて、感謝の気持ちでいっぱいになりました。

それ以来、やめてしまうのは勇気がいるものの、実は一番簡単な解決方法
なのではないかと思うようになりました。
やめてしまえば、確かに嫌なことから解放される。
でもそれでは、いつまでたっても何も変わらない。
同心円の中をグルグル回り続けるばかりで前に進めない。

前に進むのは、大変なことも多いし、時にはリスクを負わなければならない
こともあると思う。
それでも、前に歩き続ける限り目の前の景色は変わり、ふと振り返って見た
時に「ああ、自分はこんなに歩いてきたんだ」と思える時がきっと来るはず。


「やめないで下さいね」
久しぶりに聞いた言葉に、懐かしい思い出が蘇りました。

どんなことでも「やめる」というのは、私の最後の切り札として
大切にポケットに入れておこうと思ったある日の出来事。

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