SCENERY

その壁がなくなれば、世界がもっと広がります 

2012.05.17[木] 田渕俊夫展

少し遅めの桜の季節が終わる頃、随分前に録画してあったBS朝日の「京都
1200年の旅『古都を彩る桜伝説』」を見ました。

平野神社の魁桜に始まり、醍醐寺の桜など、開花する時期の異なる桜が楽しめる
京都の魅力を案内しています。
儚い桜と対比して、四季を通して楽しめる「智積院の桜」もまた番組の中で
紹介されていました。

安土桃山時代に描かれたという障壁画、国宝の長谷川久蔵の桜図の
絢爛豪華さには目を奪われるばかり。
そしてもう一つ、田渕俊夫による、真っ白な襖に描かれた水墨画の桜。
墨の濃淡のみで描かれた桜は、花びらは描かれておらず、その余白が
私たちの脳裏に淡いピンク色の花びらを色鮮やかに蘇らせます。
西洋画にはない日本の美、余白の美の神髄を見せてくれているかのようです。

その田渕俊夫展が「名古屋市美術館(4/7-5/20)」「メナード美術館
(4/7-6/17)」
で同時開催されていると知り、出かけてきました。


メナード美術館


メナードというだけあって、美術館の入り口さえも「美への扉」を開けるような
錯覚に捕らわれます。
こういう感覚、女性にしか解らないでしょうね。(笑)


氏の作品は、科学絵の具ではなく自然素材の岩絵の具に拘り、自然の中にある
色の原料を砕き、焼くことによって、色の濃淡を作り上げていく。
それはまさに芸術家ならではの技と矜持なのかもしれません。

真っ白なキャンパスを鮮やかな色で塗りつぶす西洋画も美しいのですが
自然と同化する色の濃淡と、決して塗り残しではない余白の空間を楽しむ
日本人ならではの美意識を感じさせてくれた作品たちでした。


 <メナード美術館>
  〒485-0041 愛知県小牧市小牧五丁目250番地
  Phone.0568-75-5787  10:00-17:00(月曜休館)


余談ですが、メナード美術館のコレクションはどれも素晴らしいものばかり。
私の最もお気に入りの日本画、横山大観の『霊峰十趣・夜』">『霊峰十趣・夜』も
所蔵されています。

横山大観 <霊峰十趣 夜> 


この日は大観を観ることはできなかったものの、その他のコレクション
のためだけにでも出かける価値あり、です。

2012.05.14[月] NHKよりも‥

お茶会の前日、みんなで準備をしながら話題になったこと。
「お手前のとき何が緊張するかって、もうみんなじっ〜と見てるじゃない
ですか〜。そんなにじっと見つめるのは『ヤメテー!』って思っちゃい
ますよね〜。」と異口同音の意見。
確かに満席18名、二十四の瞳どころか三十六の瞳にじっと見つめられたら
ドギマギしてしまいます。(笑)

お店では少人数が相手ながらも、至近距離から熱い視線に見つめられて
「減るからヤメテ」と。(笑)
「そんなに見ないで」とは言えないものの、さすがに動画と顔入り写真は
「勘弁して」とご遠慮いただいております。
真面目な話、結構あるんですよ、これ。


と、話が逸れてしまいました。

みんなが見ているという話から「視聴率からいったら、紅白を抜いて
いますよね〜!」と誰かが言いだし…。

「そうそう、紅白を軽く超えてますよ〜」
「ま、向こうは全国区だけど、視聴率からいったらね〜♪」

などと、勝手なことをワイワイ。


お茶会当日。
広間から立礼へと続く渡り。
風薫る5月、立礼席の待合いはこの場所でとお願いをしました。

立礼席への渡り
Photo by ATOMAさん




主に和室にいたジイヤ先生が立礼にも登場。

ジイヤ先生
Photo by ATOMAさん


「あ〜!センセイだー。ど〜して私の順番の時に来るの〜!」の声。
「先生に見られるのが一番緊張する〜!!」


あれ?(・_・?)

ジイヤ先生に見られるのが一番緊張するんだ。

「だって、細かくチェックされていそうじゃないですか〜!」って。

はい、そうです、その通りですね。(笑)
どのお客様に見られるよりも緊張する、超VIPなのであります。

でもね、時々こうして緊張感と高視聴率の中、お茶を淹れるというのも
悪くないのではありません?皆さん。

指の先まで緊張感を!(笑)
お茶会、楽しかったですね。

2012.05.12[土] さつき茶会−緑

和室の席は緑茶で本来は「緑席」なのですが、前出の理由によって「桃」
になりました。
これは「中国では仙人が食べるという桃(仙桃)のようにして下さい!」と
いうリクエストに応えてくれた川村屋さんのお菓子の色のイメージから。

和室01


最初は葛で餡を包んで…、というお話もあったのですが「それじゃ去年と同じ
なので他の素材で作って」という注文に葛に外郎を混ぜて少しマットな
仕上がりにしてくれました。
葛や外郎だとお皿にペタペタくっついちゃうので、何か方策も考えないと
いけませんね〜とつぶやいたら、秘密兵器も用意して下さって、何やら申し訳
ないような…。

千家の先生方でもこんな我が儘は言わないぞと、思われているかも
しれません。


中国歴代の権力者たちが望んだ不老不死。千年に一度実を付ける仙桃。
そんなイメージをもとに、和室のカラーは皇帝(宮廷)の黄色。

和室04
Photo by ATOMAさん




和室03

オンシジウムと利休草。



和室09

オーニソガラム、アストランチアとトルコギキョウ。



お茶はもちろん、西太后もこよなく愛したという龍井茶。
ジイヤ先生たっての希望で、明前(清明節前に作られたお茶)の梅家塢
の畑の龍井。
正直「どーしてくれるのよ」というくらい大赤字です。

でもいいのです。
わざわざ伊勢から来てくれた人や、仕事の途中(多分)で抜け出して
顔を出してくれた人がいてくれただけで十分です。
神戸や大阪から足を運んでくれた人もいて嬉しかった。
急に予定が入ってお茶を飲む時間がなくなってしまったと言って、挨拶をして
すぐにそのままお帰りになった方もあり…。

彼らのパワーと行動力に、感謝することはもちろん、尊敬の気持ちさえも
抱いてしまいます。
こういう人々とめぐり会えたお茶の縁に、心が満たされる思いです。


和室06
Photo by ATOMAさん

肝心のお茶は、一煎目は届いたばかりの龍井を贅沢にもアイスティーで。
二煎目は温かいお茶を召し上がっていただきました。




和室07



和室07


チーフさんが用意した深川製磁の茶器は、偶然にも黄色のウサギ。
丸い茶棚は月に見える?
父娘の愛情に包まれて、月のウサギは迷わず天に昇っていけるはず。
白いお皿は優しかった父からの手作りの贈り物でした。

和室10
Photo by ATOMAさん

2012.05.10[木] さつき茶会−青

前回の市民茶会での反省点は、茶席の色の区別が簡単だけど難しかったこと。
去年の茶会のテーマは、白居易の「春題湖上」でした。

この時、和室の席の色を<碧:緑茶>、立礼の席の色を<青:青茶>と
したのですが、大混乱。
つまりご年輩の方には「青」も「碧」も「緑」同じ色なんですね。(笑)
だから、自分がどこの席にいくのか解らなくなってしまって、前の人についていって
しまうという現象がおこってしまいました。
だから受付券と実数と人数が合わない…。orz

実はこれ、前の仕事の時の基本だったのですが、すっかり私の頭の中から
消えてしまっていたのです。
台数口のバスの場合、タッグの色を「青、緑、オレンジ、黄色」にすると
必ず間違えて迷子になる人が出る。
「青も緑も同じ色で『青』」、「黄色とオレンジも一緒で『黄色』」。若者にとっては
「違うやろ、それ」ということでも、そんな道理は通じません。(^^;
『色の組み合わせの時は全く異なる色で、単純明快に』というのがなの鉄則
なのでした。

今回は蘇軾の「夜泛西湖」がテーマで茶席の色はもともと「青:青茶」と
「緑:緑茶」だったでのすが、お客様には緑茶の席をお菓子の「桃」にちなんで
桃色にしましょうというのは、白鳥庭園の所長さんからの提案。
これなら間違いもなさそう♪


立礼席の茶席は、紫と緑を基本に。

立礼01



花については毎回ご質問が多い。

立礼09



立礼02

クリスマスローズ。



立礼04
Photo by ATOMAさん

クレマチスと利休草。朽ちた鉄の錆がこぼれないようにするのは一苦労。
花が活けてあった器への質問も多かったのですが、みんな何と言って説明
してくれたんだろう。




立礼05
Photo by ATOMAさん

お茶は黄金週間にちなんで(笑)福建省の黄金桂。
お約束の聞香杯は欠かせない。




立礼06

お菓子は十三夜の月をイメージしたゴマ餡の月餅。南国酒家さんが特別に
ご用意してくれました。




白鳥庭園01
Photo by ATOMAさん

それにしても…
雨が上がって本当によかった。
前日には、全員が「明日は雨だね」って諦めていただけに、ミラクル。
この青空は誰のおかげ?(笑)

2012.05.06[日] メッセージ

5月5日は、ロ・ヴーの12回目のオープン記念日でした。
12年の間に、たくさんの出逢いがあったこと、そして、いつも支えてくれるたくさんの
皆さんに深く感謝しています。

もう随分前のこと、ある人に言われた言葉。
「人は偶然出逢うのではなく、必然的に、出逢うべくして出逢うのだ」

あなたが出逢う全ての人は、必ずあなたに何かメッセージを持って現れる。それは
短いものかもしれないし、長いメッセージかもしれない。でも、誰もがあなたの人生に
とって必要な人ばかりなのだ、と。

時には「何だかなぁ」というようなことも、ないと言えばウソになる。
「何だかなぁ」なことも私にとっては必要なことなのだと思えば、この人は私にどんな
メッセージを届けに来たのだろうかと考えてみるのも悪くない。

メッセージ


5月4日、最後にお帰りになったお客様が残していった言葉。
短いけれど、心に響くとても素敵なメッセージでした。

これからも、たくさんのメッセージを受け取りながら人生という旅を続けていくんだ
ろうな、きっと。

2012.05.01[火] 光と影

いつもなら、冬の太陽の低い晴れた日の午前中に見える風景。

ロ・ヴーの風景


数日前のこと、窓から太陽の光が射し込んで、いろいろな物の影が壁に
映し出されていました。
何故かこの時はフリージアの周りだけペンダントライトの灯が反射して
そこだけ明るくオレンジ色にも近い黄色に輝いていて、本当に数分間だけ
とても幻想的な光景がそこにありました。

子どもの頃から、光と影、中国式に言うと陰と陽?この組み合わせの物が
なぜか大好き。
だからかな、本当は丸いのに光の加減で痩せて見えたり太って見えたり、
光と影、この二つでピッタリ一つになる、そんな月がとても好きなのは。

後になって、フリージアの和名が「香雪蘭」というのだと教えて頂いて
フリージアとカタカナで言うよりも香雪蘭と言う方がこの風景に似合う
気がして、ちょっと幸せな気分♪


春の市民茶会まであと2日。
茶会の当日が光の部分だとすると、準備や練習の期間は正に影の部分。
お茶会の時に、ご家族の方からお話を伺うことがあるのだけど、光の
当たらないところで、家族の皆さんにもたくさんお手伝いして頂いて
いるみたいです。

自宅で練習する時には「練習するからちょっと見て」と付き合わされ、
セリフがある時には、家のあちこちにセリフの紙が貼られているのを
一緒に眺め、ついにはお茶会会場まで送迎して下さる優しい旦那様も。
まるで受験生の父のようです。

そんな話をお聞きする度に、何度羨ましいと思ったことか。(^-^)
そして、そんな優しいご主人や家族の皆さんに対して、本当に感謝の気持ちで
いっぱいになります。

光と影が一つになって、いよいよお茶会は明後日。
たくさんの優しい思いが一つになって、楽しいお茶会になりますように。





プロフィール

say (サンタ)

Author:say (サンタ)
<ロ・ヴーの風景>
中国茶や日々の出来事、旅の思い出などを綴っています

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